ニオイ?香り? 高温多湿な気候との関係
暖かく湿った空気を持つ太平洋高気圧に支配されている日本の夏。夏は冬と比べると、いろいろな匂いを感じやすいと思いませんか。それにはいくつかの条件があります。
条件1⃣温度
匂いの元であるニオイ分子には、常温で蒸発して気体になりやすい(揮発性)という性質があります。この揮発性は、温度が上がるほど高くなります。つまり暖かいほど、気体になったニオイ分子が拡散して、匂いが周囲に伝わりやすくなるのです。
分かりやすい例として、熱いコーヒーは周囲にしっかりと香りが漂いますが、冷めてしまったコーヒーはそれほど香りを感じませんよね。肉や魚も冷凍した状態であればあまり匂いを感じませんが、常温になると生臭さが分かると思います。
条件2⃣湿度
湿度もまた、匂いの伝わりやすさに大きく関係しています。
乾燥した、湿度の低い状態では、ニオイ分子はすぐに広範囲に散るので、濃度が薄まりあまり匂いを感じません。しかし、ニオイ分子は水に溶けやすい性質も持つので、湿度が高い状態では水蒸気の中に含まれ、散らずにその場に留まるので、匂いを感じやすくなるのです。
湿度が上がる雨上がりに、草木や花々の香りを強く感じるのもこのためです。
また、動物の嗅覚は、湿度が高いほど敏感になります。私たち生物の鼻にある「嗅細胞」は適度な湿度がある場合のほうがしっかりと匂いを感じ取ることができるからです。犬などの動物の鼻が湿っているのは(体温調節などの役割もありますが)より敏感に匂いを嗅ぎ取るためなのです。
ニオイではなく、香りを楽しんでみませんか
このように、高温多湿な日本の気候は、匂いが伝わりやすい条件が揃った環境といえるでしょう。蒸し暑い夏はどうしても不快なニオイを感じてしまいがちですが、それは同時に「香りを楽しむのに最適な季節」と考えることもできます。ちょっとだけ意識を変えて、こちらから香りを見つけに行ってみましょう♪夕立の雨上がりに足元から立ち上る草花の香りや、触れ合う木々の葉の風の香を感じたり、縁側で蚊やりのお線香や好きなアロマを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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