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ナポレオン~フランス初代皇帝が愛した香りとは?

フランスの初代皇帝ナポレオン・ボナパルトは、香りに対して並々ならぬ情熱を持っていたことでも知られています。ナポレオンが愛した香りや、彼自身と香水の繋がりを探ることで、当時のフランスにおける香水の社会的役割や時代背景などを理解することができるでしょう。そして彼の香りへのこだわりが、後世の香水文化や香料産業に与えた影響についてお話しします。さらに今回の記事では、ナポレオンが惚れ込んだ「ケルンの水」の香りを再現するレシピもご紹介します。

ナポレオンの香水が持つ力、文化の中での意義について知識を深め、彼の愛した香りを実際に体験してみませんか。誰もが知る強い軍事指導者であり政治家・ナポレオンの意外な一面についてちょっと深堀りしてみましょう。

 

パリ凱旋門と青空

 

ナポレオンが愛した香り

 

ナポレオン・ボナパルトは、歴史上最も影響力のある指導者の一人として知られていますが、その彼が愛した香りについても注目する価値があります。香水は、ナポレオンの時代、特に近世フランス社会において重要な役割を果たしていました。この時代の香水は、女性たちの魅力を引き立てるだけでなく、男たちの威厳や個性を表現する手段としても注目されていたのです。では、ナポレオンの時代における香水の役割と、彼自身が香水をどのように使い、関わっていたのかを探ってみましょう。

 

ナポレオン時代のフランスにおける香水の役割

 

18世紀末から19世紀初頭にかけて、フランスにおいて香水は、社交界における地位やステータスを示す重要な要素となり、多くの人々がその香りにこだわりを持つようになりました。香水はその香りによって人々を惹きつけ、話題を提供する手段にもなったのです。

特に、宮廷や上流社会では香水をつけることがマナーであり、それにより人の印象が大きく変わります。すなわち、香水は単なる嗜好品ではなく、社会的な地位を表すシンボルでもあり、個々の嗜好や性格を表現する手段ともなります。

また、ナポレオンにとっての香りは、自身の政治的パワーや権威を構築するために不可欠なものでした。彼は香水を使用することで、貴族的なイメージを演出し、官僚や将軍たちとの関係を深めたのでした。香りは自己表現の手段であり、自身の影響力を示す重要なツールでした。

 

ナポレオンは香水マニアだった?

 

ナポレオンは非常に綺麗好きで、石鹸と香水を大量に使用していたといいます。そして、ナポレオン本人も当時の香り文化に影響を受け、特定の香りを厳選し、使用していたといいます。中でもお気に入りだったのが「ケルンの水」(フランス語で「オーデコロン」)。17世紀末にドイツのケルンで誕生した芳香水で、ベルガモットなどの柑橘を基調に、ローズマリーなどのハーブを上質なアルコールに漬け込んで作られています。当時、ナポレオンのいたフランスではジャコウ鹿から採れるムスクなどの濃厚な香りが流行していたため、ケルンを占領したナポレオンは、ムスクとは正反対の、フレッシュで爽やかなこの香りにすっかり心奪われてしまったのでした。

ドイツ進駐軍の兵士たちも、こぞってこの「ケルンの水」を持ち帰り、フランスでも広まったとされ、これが「世界最古のオーデコロン」と言われています。

ナポレオンは、この香水を首や肩にもふんだんに振りかけ、洗顔にも使い、彼のトランクには常にこの香水のボトルが入っていました。なんと!1か月に60本も使用していたとか。

 

ナポレオンは香水をどう利用したか

 

ナポレオンは、戦いに出かける前には気持ちを高め、自分自身を鼓舞するために、そして、勝利の凱旋を終えた後には、疲れを癒しリフレッシュするために、この爽やかな香水を愛用していました。また、彼は香りに、戦の名残や緊張を和らげるリラックスの効果も見出していたので、戦地へ赴く際には戦士への香水をたくさん持参し配っていたようです。

このように、ナポレオンの香水は、自身の社会的な地位やカリスマ性を引き立てるのみならず、時に軍隊の士気を高めたり、過酷な状況の中で心を整えるために、と利用されました。ナポレオンの香りへのこだわりは、彼の人間性を象徴するものでもあったように思います。

 

 

ナポレオンの香水が後世に与えた影響

 

ナポレオン・ボナパルトは、フランスの歴史において重要な役割を果たし、彼の個人的な嗜好や生活様式が社会文化に大きな影響を及ぼしました。その中でも特に、フランス文化の象徴ともいえる香水は、彼の愛用した香水がフランス国内外に広まり、香水の需要を高める要因となりました。ナポレオンが愛した香水は、彼自身の権力とカリスマ性の象徴ともされ、多くの人々に彼の影響を感じさせるものとなりました。

 

ナポレオンの肖像画

 

香水業界への影響

 

ナポレオンが特に好んで使用した香水「ケルンの水」。この香水はベルガモットやオレンジなどフレッシュな柑橘をメインにローズマリーなどのハーブもブレンドされた香りで、爽やかさと品位を兼ね備えています。ナポレオンの使用により、「ケルンの水」は瞬く間に流行し、フランス国内で香水の需要はますます高まりました。名立たる調香師たちが、ナポレオンの審美眼に応えるため、より洗練された香水を作り献上しました。

ナポレオンの影響によって、香水は単なる装飾品から、個人のアイデンティティの一部として認識されるようになりました。特に彼のような有名人が香水を使用することによって、その香りは特別な意味を持つようになり、多くの人々が香水を身に着けることで自己を表現するようになったのです。この時期、多くの香水製品が開発され、香水は貴族だけではなく、一般市民へも広がっていきました。

 

現代におけるナポレオンの香水の遺産

 

現代においても、ナポレオンが愛した香りは商業的および文化的に大きな影響を残しています。ナポレオンの時代に需要の高まった香水は、体系的な産業へと昇華し、香水工場やブティックが相次いで設立されました。その中には、現在も名声を誇るランセ、ロジェ・ガレなど多くの香水ブランドが存在し、ナポレオンや彼の時代をモチーフにした香水を製作し、古典的な香りの再現や、新たな香りの創造が行われています。香水を通じて当時のフランスやナポレオンの精神を感じることができるため、歴史的な香りへの関心も高まっています。

また、香水は今や男女を問わず使用されるものとなり、ナポレオンが示したように香りは自己表現の一形態として広く受け入れられています。彼が愛した香りやその背景、そして香水を巡る文化は、今日でも多くの人々に愛され、伝承されているのです。

このように、ナポレオンの香水は彼自身の個性とスタイルを表すものだけでなく、その後の香水業界にも多大な影響を与えました。そして今日、香水は単なる嗜好品ではなく、文化や歴史を映し出す重要な要素となっているのです。

 

ナポレオンの愛用した香りを再現してみましょう!

 

17世紀末のドイツのケルンで生まれ、個性的でありながら軽やかな香りが特徴的な「ケルンの水」は、ナポレオンがフランスに持ち帰り、当時の貴族から庶民まで幅広い層に支持されました。ナポレオンが愛してやまなかった香りがどんなものか、実際に体験してみたいと思いませんか。

市販されている精油(エッセンシャルオイル)数種類と無水エタノールをブレンドして再現したレシピがありますので、こちらに掲載します。

 

「ケルンの水」を作ってみましょう

 

「オーデコロン」は、フランス語の「ケルンの水」に由来します。

もともとはヨーロッパで流行した芳香水の名称で、ケルンは製造地。

 

■「ケルンの水」レシピの例(出来上がり量約50ml)

エタノール…5ml

水…45ml

ベルガモット(3滴)

スイートオレンジ(2滴)

ネロリ(2滴)

ローズマリー(2滴)

ラベンダー(1滴)

 

■作り方

エタノールに精油を混ぜ、水を加えてさらによく混ぜる。

世界文化社(発売)公益社団法人日本アロマ環境協会(発行)「アロマテラピー検定公式テキスト」P86.いにしえのレシピを再現してみましょう!より

 

出来上がった香水は、スプレーボトルなどに移し替えて使うと便利です。香りを楽しむタイミングは、朝の目覚め時や外出前など、爽やかさを求める瞬間にぴったりです。

かつてナポレオンは、常に戦いに挑み続ける過酷な状況の中、心を整えるために、この香りを愛用していました。いにしえの香りを身に纏い、ナポレオンの時代に思いを馳せながら、日々の生活に彩りを加えてみてはいかがでしょうか。

 

フォンテーヌブロー宮殿の玉座

 

まとめ

 

いかがでしたでしょうか。

このように、ナポレオン時代のフランスにおいて香水は単なる嗜好品ではなく、社会的地位の象徴としても重要な役割を果たしていました。香水は特に上流階級の人々にとって、自己表現の手段であり、常に周囲からの評価を意識する彼らにとっては、香りが持つ力もまた欠かせないものでした。ナポレオン自身もその影響を大いに受け、彼の好きな香りには強い愛着があったと言われています。

厳選した香りはもはや彼のアイデンティティの一部となっていました。お気に入りの香りを身に纏うことで、戦場に出る際や重要な会議の前に自信を持つことができていたのです。さらに、彼の周りの家族や部下にとっても、ナポレオンの香りが彼の威厳を強調する手助けをしていました。

ナポレオンの香水が後世に与えた影響は計り知れません。香水業界において、彼の嗜好が後のフレグランスデザイナーたちにインスピレーションを与え、香りの作り方や販売においても新たな道を開きました。そして香水が生活の一部として浸透していく中で、ナポレオンの影響は現代においても継続しています。今日私たちが使用する多くの香水は、彼の時代に培われた技術や考え方の上に成り立っており、その名残を感じることができます。

また、現代におけるナポレオンの香水の遺産は、個々の香水ブランドに留まらず、香りの文化そのものに影響を及ぼしています。香水は今や多様性を持ち、個性を表現するための重要な手段となっていますが、その基盤にはナポレオンが作り上げた香りに対する評価と理解が根付いていると言えるでしょう。

ナポレオンが愛した香りから私たちが学べることは多いですが、特に彼の香りに対する情熱は、ただの嗜好品を超えた文化的価値があることを示しています。このような豊かで多様な香りの世界を大切にしながら、私たち自身の嗜好や個性を香りで表現してみませんか。

この記事を書いた人

やまだ かおり

神奈川県湘南・大磯で、nico_tto~かおりの教室~をしております。暮らしを彩るアロマグッズの販売やワークショップ等も随時開催。曲の世界観を香りにしたearphone・aroma(イヤホンアロマ)を世に広めるべく奮闘中♪
【保有資格】AEAJアロマテラピーインストラクター・アロマハンドセラピスト、@aromaアロマ空間デザイナー

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