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精油は植物のどこで作られる?その作用と製造法

アロマテラピーに興味がある方にとって、精油が植物のどの部分に蓄えられ、どのようにしてその香り成分が抽出されるかは、とても気になるテーマですよね。特に、精油の生成メカニズムや抽出法について深く知ることで、精油がいかに貴重で、植物のめぐみであることがお分かりいただけるでしょう。この記事では、精油が植物のどこで作られるのか、またそれがどのように抽出されるのかを詳しく解説します。具体的には、精油が生成される部位や、植物にとっての役割、そして私たち人間にもたらしてくれる作用についても触れていきます。この情報を知ることで、アロマテラピーにおける精油の選び方や使い方のヒントを得て、香りの世界がもっと楽しくなるはずです。さあ、精油の秘密に迫る旅を始めましょう!

 

みつばちと菜の花

 

精油の生成メカニズムと役割

 

精油は、植物の芳香物質を抽出した揮発性有機化合物の集合体で、エッセンシャルオイルとしても知られています。これらの天然物質は、植物自身が生き延びるため害虫や病気から守ったり、種を守るために受粉生物を引き寄せたり、と自身の体内に生成するものでありながら、その香り成分は私たち人間の健やかな生活に役立つような様々な作用があると言われています。精油の生成メカニズムを理解することは、アロマテラピーの魅力を理解するための重要な要素です。

 

植物が精油を作り出すしくみ

 

動物は、食物からエネルギーを得ることができますが、植物は自分自身でエネルギーを蓄えなければなりません。そのため、植物には光合成という、太陽のエネルギーを活用する特別なしくみが備わっています。植物はこの光合成により、二酸化炭素と水から、酸素と生命維持に欠かせない炭水化物を合成します。さらに、その過程で発生したエネルギーを利用して、生み出された様々な有機化合物の一つが精油です。

植物がもつこの芳香物質は、昆虫などの生物や、カビ(真菌)や有害な細菌に対して以下のような効果を発揮します。これは、植物の生命を維持するために必要な役割であり、中でも代表的な3つをご紹介します。

〇誘引効果(受粉のため、種子を遠くに運ぶために、昆虫や鳥などの生物を引き寄せる効果)

〇忌避効果(摂食されることを防ぐために、昆虫などの生物を遠ざける効果)

〇抗真菌・抗菌効果(カビや酵母などの真菌の発生・繁殖を防ぐ効果)

 

抽出部位ごとの精油の特徴

 

花と木

 

精油は植物全体に均一に含まれるわけではなく、特定の細胞で合成され、それぞれの部位に蓄えられます。その部位は植物の種類によって異なりますが、一般的には果実・果皮、花、葉、幹、樹脂、根などが挙げられ、人間に与える作用にも特徴が表れます。ここではいくつかの精油を抽出部位別に紹介しましょう。

〇果実・果皮(おいしい果肉で鳥など誘い、種子を遠くまで運んでもらう役割)

 爽やかな香り「スイートオレンジ」…心を明るくする・消化器系の働きを整える作用

〇花(種子を作って子孫を残すため色や香りで虫などを誘う役割)

 華やかな香り「ラベンダー」…気分を上げる・ホルモンバランスを整える作用

〇葉(光合成によって、自分に必要な栄養を作ると同時に生物に必要な酸素を作る役割)

 すっきりとした香り「ペパーミント」…リフレッシュ・抗菌作用

〇幹(植物を支える背骨の役割。根から枝葉に栄養を運ぶ役割)

 森林のような香り「ヒノキ」…リラックス・心を鎮める作用

〇樹脂(幹の傷から流れ出た樹液が固まったもの。樹の傷を修復し、菌から守る役割)

 個性的な香り「フランキンセンス」…心身を癒す作用

〇根(土の中に張り巡って植物を支え、養分や水分を吸い上げる役割)

 土のような深い香り「ベチバー」…心を落ち着かせる作用

このように、精油に含まれる香り成分は、生成される植物の部位や役割と密接に関連しており、それが植物の生存に必要なだけでなく、人間の心身の健康に働きかける作用があるとして利用されています。

 

精油が私たちにもたらす様々な作用

 

精油には、それぞれに特有の成分が多数含まれ、それらが複雑に絡みあって精油の香りや特徴を作り出しています。香りによって、気分がすっきりしたり、リラックスしたり、元気になれたりした経験は皆さんにもあると思います。その理由は、精油それぞれが作用をもって私たちの心身に働きかけているからです。ここでは香りのイメージと作用の関係と精油の代表的な15の作用を紹介したいと思います。

 

香りのイメージと作用

 

私たちが精油の香りを嗅いだ時に感じる感覚は、ほかの多くの人にも共通することが多いと言われています。たとえば気持ちがリラックスできると感じる香りを嗅ぐと、身体にも鎮静作用が現れたり、気分がすっきりすると感じる香りを嗅げば、身体の機能も活性化したりします。精油の香りのイメージとその作用は、一致している場合が多いようです。

ただ、精油に含まれる数十から数百もの成分は、複数の人に同じような作用をもたらす一方で、精油を使用する個人や状況によって違う作用をもたらす場合もあります。それもアロマテラピーの奥深いところかもしれません。

 

代表的な精油の作用

 

代表的な15の作用を、心や身体、皮膚、ウィルスや虫などどんな場合に適するかグループに分けて紹介していきましょう。

 

~心身への作用~

〇強壮作用…身体を活性化したり、強くしたりする作用

〇去痰作用…痰を切り、痰を出しやすくする作用

〇消化促進・食欲増進作用…胃腸の働きを活発にして消化を促進したり、食欲を増進させたりする作用

〇鎮静作用…神経系の働きを鎮めて、心身の働きをリラックスさせる作用。

〇鎮痛作用…身体の痛みを和らげる作用

〇ホルモン調節作用…ホルモンバランスを調節する作用

〇免疫賦活作用…免疫の働きを強めて、活計化する作用

〇利尿作用…尿の排泄を促進する作用

 

~皮膚への作用~

〇収れん作用…皮膚を引きしめる作用

〇保湿作用…皮膚の潤いを保って、乾燥を防ぐ作用

 

~細菌やウィルス、虫などに対する作用~

〇抗ウィルス作用…ウィルスの増殖を抑える作用

〇抗菌作用…最近の増殖を抑える作用

〇抗真菌作用…真菌(カビや酵母など)の増殖を抑える作用

〇殺菌作用…主に人体にとって有害な、細菌などの病原体を死滅させる作用

〇虫よけ作用…虫を寄せつけない作用

 

精油の抽出法の種類

 

精油は、植物の花や葉、果皮、果実、幹、根、種子、樹脂などの部位から、ごくわずかしか採れない貴重なエッセンスです。その希少な精油を、効率よく安定的に植物から採り出す手段として、精油の抽出法は時代とともに進化してきました。同じ植物でも抽出法が違えば成分も変わります。また、それぞれの植物、抽出部位に適した方法が用いられます。その代表的な方法を詳しく見ていきましょう。

 

水に溶けにくい性質を利用した「水蒸気蒸留法」

 

水蒸気蒸留法

 

 

多くの精油が、この水蒸気蒸留法で抽出されます。原料植物を蒸留釜に入れ、水蒸気をあてると、香り成分が熱によって揮発し、蒸気とともに立ち上ります。その蒸気を冷却水で冷やすと液体となり、液体上部に浮いたものが精油、下部のものが芳香蒸留水となります。この芳香蒸留水は水に溶けやすい芳香成分を含んでおり、フラワーウォーターやハーブウォーターと呼ばれています。最も一般的な抽出法ですが、植物によっては熱や水によって本来の香りや成分が失われることもあり、この方法が適さないものもあります。

 

主に柑橘類に用いられる「圧搾法」

 

圧搾法

 

 

圧搾法は、柑橘類の精油の抽出に使われます。精油は主に果皮に含まれているため、果皮と果実を分けたあと、ローラーで圧搾し、遠心法で水分を分離させて精油を抽出します。この方法は、熱を加えず圧搾するのが特徴で、低温圧搾(コールドプレス)とも呼ばれます。熱による成分変化がほとんどなく、自然のままの色やフレッシュな香りが得られるのがメリットですが、不純物や変質しやすい成分も含んでいるため劣化しやすく、使用期限に注意が必要です。

近年では、皮膚刺激のある成分を取り除くため、柑橘系の精油を水蒸気蒸留法で抽出することもあります。

 

繊細な花の香りに用いられる「揮発性有機溶剤抽出法」

 

揮発性有機溶剤抽出法

 

揮発性有機溶剤抽出法は、熱や水に弱いローズやジャスミンなどの花や樹脂などの精油を抽出する方法です。原料となる植物から、石油エーテル、ヘキサンなどの有機溶剤を用いて精油を抽出します。常温の有機溶剤に植物を入れると、コンクリート(天然ワックス成分と香り成分など)が得られます。このコンクリートにエタノールを加え、香り成分とワックス成分を分離。最終的にエタノールを取り除いて完成したものを「アブソリュート」と呼びます。有機溶剤は微量ですが残留物として残る場合もあります。

この方法で、フランキンセンスやベンゾインなどの樹脂から取り出した精油は「レジノイド」と呼ばれます。

 

古くから伝わる伝統的な手法「油脂吸着法」

 

油脂圧着法

 

花の精油を抽出するための、伝統的な方法です。牛脂やラード、オリーブ油などに香り成分を吸着させます。香り成分でいっぱいになった油脂をポマードといい、そこからエタノールを使って「アブソリュート」を抽出します。常温または加熱した油脂に浸す方法があります。

〇冷浸法(アンフルラージュ法)…常温の固形油脂の上に花などを並べて、香り成分を吸着させる方法

〇温浸法(マセレーション法)…60~70℃に加熱した油脂に花を浸し、香り成分を吸着させる方法

現在では揮発性有機溶剤抽出法が用いられ、手間のかかる油脂吸着法はほとんど使われていませんが、抽出技術の発展において歴史的価値のある方法です。

 

近年開発された技術「超臨界流体抽出法」

 

超臨界流体抽出法

 

超臨界流体抽出法は、二酸化炭素(CO2)に熱と高圧をかけて、気体と液体の中間の状態(超臨界状態)にし、その状態の二酸化炭素を植物に通過させて、香り成分を効率よく取り出す方法です。二酸化炭素を使うことにより低温で処理でき、植物そのものに近い香りの精油が抽出されます。この方法は1970年ごろから登場しましたが、装置が高価なため一般的ではありません。

 

まとめ

 

いかがでしたでしょうか。

アロマテラピーの主役ともいえる精油がどのように生成されるのかを知ると、それが植物からの大切な恵みであるとお分かりいただけたと思います。そして、精油が得られるまでにはいくつもの工程があり、大量の植物原料からほんのわずかしか採れない精油がいかに貴重なものかということも。

たった一滴の中にもにギュッと凝縮された香りのチカラは、私たちに様々な作用をもたらしてくれます。これらの情報が”アロマテラピー始めてみようかな”のきっかけとなれたら幸いです。アロマテラピーに欠かせない精油には本当にたくさんの種類がありますが、まずはご自身のお好みの香りを見つけに出かけてみませんか。

この記事を書いた人

やまだ かおり

神奈川県湘南・大磯で、nico_tto~かおりの教室~をしております。暮らしを彩るアロマグッズの販売やワークショップ等も随時開催。曲の世界観を香りにしたearphone・aroma(イヤホンアロマ)を世に広めるべく奮闘中♪
【保有資格】AEAJアロマテラピーインストラクター・アロマハンドセラピスト、@aromaアロマ空間デザイナー

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