nico_tto~かおりの教室~ 音楽のインスピレーションから生まれた「earphonearoma (イヤホンアロマ)」シリーズをメインに、暮らしを彩るアロマグッズを販売。ワークショップ等も随時開催。

アロマテラピーと地球環境の関係とは?

アロマテラピーは近年、個人で香りを楽しむだけでなく、様々な業界へビジネスとしての広がりをみせています。世界的にSDGs(持続可能な開発目標)が推進されている中、AEAJ(公益社団法人日本アロマ環境協会)では、「アロマを通じてできるサスティナビリティ」に取り組んでいます。植物の香り成分を使うアロマテラピーだからこそ、植物を育む地球環境を、未来に向けて大切に守っていく活動が行われています。この記事では、様々な分野でのアロマテラピーの活用の場を探るとともに、その原料となる植物が直面している環境問題についても掘り下げていきます。リラクセーションや健康から美容、教育、さらには観光業界に至るまで、多様な業界で広がるアロマテラピーの活用が、私たちの日常生活をとても豊かなものにしてくれているからこそ、その中心となる精油の原産地が抱える問題や、絶滅が懸念される植物について知り、アロマテラピーを実践する際に配慮する必要があるのです。アロマテラピーの未来に向けた持続可能なアプローチにはどんなものがあるのでしょうか。この記事を通じて、アロマテラピーと地球環境の相互作用を理解し、私たち一人ひとりができることから考えてみましょう。

 

プロヴァンスの壮大なラベンダー畑

 

広がるアロマテラピー活用の場

 

アロマテラピーの活用は今、様々な業界で広がっています。日常生活において、アロマに触れる機会が増えてきていると思います。それぞれの業界でのアロマテラピーの利用法と、その効果について見ていきましょう。

 

リラクセーション・ヘルスケア業界

 

リラクセーション業界は、アロマテラピーの発展に大きく寄与しています。サロンでのトリートメントなど、多くの人々がデスクワークなどによる身体の疲れやストレスによる心の疲れを癒やす手段として利用しています。そうした現代人の疲労に働きかけ、病気の予防や健康の増進を図るために、リラクセーションやヘルスケアへの活用が注目を集めていますす。エイジングケア(更年期などへのケア)にも取り入れられるなど、アロマテラピーの活用の場が広がっています。

 

介護・医療・ボランティア業界

 

介護や医療の現場でもアロマテラピーが活用されています。高齢者や病人のケアにおいて、アロマテラピーは痛みやストレスの軽減や不安感の緩和に役立ち、生活の質を向上させる手助けをしています。特に認知症患者へのアプローチでは、音楽療法やアロマテラピーが一緒に行われ、心を穏やかにするかたちで患者さんに寄り添っています。ボランティアの業界においても健康増進やストレスケアのために、アロマテラピーをはじめとする自然療法を取り入れる機会が増えています。また、病気を未然に防ぐ、予防医学などにもアロマテラピーは活用されています。

 

美容・コスメ業界

 

美容業界では、アロマテラピーがスキンケアやヘアケア製品に幅広く取り入れられています。美容やエイジングケアのために、より自然な素材を使うとともに、身体の外側だけでなく内側からもアプローチしていくために、精油やハーブなどの植物成分が化粧品などに使われています。

 

教育業界

 

子供たちに向けた取り組みもあります。アロマテラピーで用いる精油や植物の香り体験を通して、自然に触れ、五感を磨き、豊かな感性や柔軟な発想を育みながら、人と植物の関わりと自然環境の大切さを伝える「香育」という活動です。子供たちに向けた香りの体験教育として、夏休みの自由研究としても人気のテーマです。

 

サービス・観光業界

 

サービス業界においては、アロマテラピーが顧客体験を向上させる一手段として利用されています。ホテルのレセプションやレストランでは、香りのおもてなしとしてアロマが活用され、訪れた人々にリラックスした印象を与えています。従業員の方がアロマテラピーの知識を接客やサービスに活かす場面も増えています。観光業界では、観光地のスパやリゾート施設でアロマトリートメントや香りの体験を提供し、観光客のストレスを解消して喜ばれています。また、各地域特有の原料植物(精油の原料となる植物)から得た精油が開発され、商品化されることもあります。

 

インテリア・アパレル業界

 

インテリアやアパレル業界では、香りの演出が空間デザインの一部として組み込まれ、香りがブランディングに活用されています。心地よい香りが漂う空間は、訪れる人々に好印象を与え、再訪を促す効果がありますし、顧客の滞在時間を延ばし、購買意欲を高める効果もあります。香りは感情や記憶に強く結びついているため、特定の香りをブランドの一部として取り入れることで、ブランドイメージを強化し、顧客体験をより印象的なものにすることができます。

 

スポーツ業界

 

スポーツ業界では、アロマテラピーが選手のパフォーマンスを向上させるためにも利用されています。特定の精油が持つ作用を活かし、緊張を和らげたり疲労を軽減させたりします。また、アスリートの疲労回復やけが予防、心と身体のケアを目的として、オリンピックの選手村やスポーツの大会などの場で、チームや個人のコンディションを整えるために、香り成分が役立っています。

 

原料植物と地球環境

 

アロマテラピーに欠かせない精油は、植物からの大切な恵みです。その精油が得られるまでの過程にも意識を向け、植物が育つ土壌、大気、水、そこに暮らす生き物など、あらゆる自然環境が関わっていることを、私たちは忘れてはなりません。生活が豊かで便利になる一方で、地球温暖化や酸性雨などの環境問題が世界的に深刻化しています。地球温暖化は異常気象の頻発や植物の生育環境の悪化などを引き起こし、地球環境に大きな影響を及ぼしているといえます。また、精油の原料植物の宝庫であるアフリカや中東地域では、人口増加や紛争などにより自然破壊が加速しており、高値で取引される植物が乱獲されるなど、需要の高まりによる環境への影響も懸念されています。

アロマテラピーを通して地球全体の自然、環境の現状を知り、環境を守る対策を考えてみることも必要でしょう。

 

精油の原産地が抱える問題

 

IUCN(国際自然保護連合)では、絶滅の恐れがある野生の動植物を絶滅危惧種して「レッドリスト」に指定しています。ワシントン条約会議で、レッドリストに採択された種は、国際取引が制限・禁止されています。精油の原料植物となる植物の中にも、高価な香木をはじめ、建材、家具、楽器の材料として大量に伐採され、絶滅の危機に瀕しているものもあります。樹を切り倒さなくても、樹脂を採取するために樹皮に傷をつけることで、樹木が弱ってしまうことも少なくありません。

こうしたことからレッドリスト対象外の種でも、各国の政府が伐採・輸出を規制したり、プランテーション化したりして、危機的状況にある植物を保護する動きがあります。樹木は成長に時間がかかるものが多く、中には50~100年を必要とするものもあります。限りがある原料植物を持続可能なかたちで利用するためには、植物を守りながら計画的に利用していく姿勢が大切です。

 

絶滅が心配される原料植物

 

例えば、サンダルウッドは日本でも白檀の名前で古くから、お香や仏具、建築の材料として使われてきました。特にインドのマイソール産のものが香り高く、高級とされ、広く世界中で宗教儀式などに利用されてきましたが、現在はインドのサンダルウッドは保護森林となっており、伐採はインドの国家機関である環境森林気候変動省が直接管理しています。伐採したら植樹することが義務付けられ、輸出にも厳しい規制がかけられています。

 

サンダルウッドの木

 

【サンダルウッド】~インド政府が管理~

輸出規制によりインド産の供給が減ったため、近年はインド産の香りによく似たオーストラリア産の流通量が増加している。

 

【アガーウッド】~絶滅危惧種~

沈香樹の別名でも知られる香木(お香の材料)。最高級のものは伽羅と呼ばれ、高値で取引され、乱獲された。主な産地はベトナム、インドネシア、インドなど。産地や各国のボランティアが植樹活動を行っている。

 

【ローズウッド】~絶滅危惧種~

香料や建材、家具や楽器の材料としても人気を集め、ブラジル政府が1930年代から伐採を規制。現在は許可がないと伐採、移動、輸出ができない。植樹などもすすめられているが、精油を採取するには20年近い年月を要する。近年では、木を守るため、木部ではなく、枝葉から抽出した精油も増えてきている。

 

アロマテラピーの未来

 

アロマテラピーは心身の健康を改善する手段として広く利用されていますが、未来においてもその重要性は増すばかりです。今後のアロマテラピーにおける大きなテーマは、精油を得られる原料植物が生育する環境保護にあります。私たちが使用する精油の原料となる植物が乱伐や環境変化の影響を受け、持続可能な方法での栽培が求められています。アロマテラピーを楽しむためには、これらの環境問題に対する意識を高め、持続可能な選択肢を選ぶ必要があります。

 

未来のアロマ環境を守るために

 

地球の自然環境を良くする、というととても大変なことですし、すぐに結果が目に見えるわけではないのでつい敬遠しがちです。しかし、一人ひとりが実践することでも、環境改善につながっています。今日からできることが、たくさんあるはずです。

ものを大切にする、無駄をなくすといった日々の心がけはもちろん、花や草木を育てること、さらに今回学んだような精油の原料植物への理解を深めることも、環境への意識を高め、自然を思いやる行動のきっかけとなります。

アロマテラピーにおいては、例えば希少な精油の代わりに似た香りや成分をもつ精油を選ぶ、木部の伐採を必要としない枝葉から抽出される精油を積極的に利用するなどもひとつの手段です。一方で、絶滅が危惧されるからといって利用を控えるよりも、計画的に植樹・管理された農園の植物や代替植物の製品を使うことによって、原産地やそこで働く人々が経済的に豊かになり、経済が潤い、結果的に希少植物を守ることにつながるという考え方もあるのです。

このように、一人ひとりが小さな実践を心がけることで、アロマテラピーが地球環境に優しい形で未来に続いていくことができるのです。

この記事を書いた人

やまだ かおり

神奈川県湘南・大磯で、nico_tto~かおりの教室~をしております。暮らしを彩るアロマグッズの販売やワークショップ等も随時開催。曲の世界観を香りにしたearphone・aroma(イヤホンアロマ)を世に広めるべく奮闘中♪
【保有資格】AEAJアロマテラピーインストラクター・アロマハンドセラピスト、@aromaアロマ空間デザイナー

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